通販業の市場拡大を可能にした大きな要因の一つは宅配便の発展である。宅配便網が整備されたことによって通販市場への参入が簡単になっている面があることは確かだ。日本において、専門のサービスとして宅配便が誕生したのは、昭和五一年のヤマト運輸(当時大和運輸)による「宅急便」であるといわれる。ヤマト運輸の「宅急便」の初年度扱い個数は約三〇万個であったが、平成一三年の扱い個数は九〇億個を超え、宅配便全体では、郵便小包の約六・四倍にあたる約二六億個にのぼる。三〇年にも満たない、ごくわずかの間に急成長をとげ、現在では、消費者にとって最も身近な輸送サービスとして社会に定着している。平成一三年のトラックにおける便名ごとのシェアをみると、上位一〇便が全体の九九・六%を占めている。中でも「宅急便」「佐川急便」「ペリカン便」の上位三便で、八二・二%を占める寡占状態にあることがみてとれる。宅配便が成功した要因として、それまで家庭小荷物を扱っていた郵便小包と鉄道小荷物とのサービスの差異化と向上が考えられる。具体的にみると、?全国どこへでも短期間(一〜二日)で配達されるサービス?家庭なりオフィスまで取りに来てくれる利便性?簡単な包装と書き易い伝票などの手続きの簡単さ?わかりやすい地域別均一運賃これらのサービス特性が潜在需要を顕在化させ、宅配市場を拡大させた要因と考えられる。とりわけ、「スピード」「利便性」「料金の安さ」が宅配便利用の増大要因であり、これが通販業の発展を支えてきた。さらに従来の宅配便の基本サービスに、生活者のニーズに柔軟に対応した新しいサービスの付加を継続的に行ってきたことが、その後の潜在需要を掘り起こして新たな市場を創造するにいたった。新規サービスで急成長をとげた宅配便サービスメニューの多様化、高度化の例として、ゴルフやスキーの宅配便をはじめ、温度管理も行うクール便や配達時間指定サービス、そして通信販売の普及に貢献した代引き輸送制皮などがあげられる。これらは、これまで存在してきたさまざまな制約(荷物の形状や形態などの条件、料金的条件、時間的条件、サービス的条件など)に対して、生活者のニーズ、利便性を考慮し取り入れた新しい宅配便サービスである。現在も、インターネットの普及やECの増加にともない、新たなビジネス・チャンスを巡って、各社のサービス開発競争が激化している。
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